アングラな魚日記

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zoom RSS 盛川水系鷹生川 (岩手県大船渡市)

<<   作成日時 : 2006/11/03 23:41   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 4

 9月の末で遊漁期を終え、誰一人、釣り人がいない静まり返った鷹生川。禁漁期間が始まる10月1日に、いつもの入渓ポイントに立った。流れを見ると、台風による大雨から数日たってもなぜか濁りが残っている。ここはそんな川ではなかったはずだ。この鷹生川は五葉山を源にして美しい原生林を縫うように流れ、三陸の特徴であるリアス式海岸に一気に流れ下る。特に上流部は急峻で大岩が点在し、その渓水は清冽を極め、渓相、渓谷美とも小さな川ながら抜群であった筈だからだ。

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 この渓には、幅広のヤマメやアメマス系の腹の白いイワナ、そしてもちろんアメマスも上ってくる。ここで岩に化け、木に化けて釣りをしていると、山の峰をドドドッと群れで走るエゾシカに驚いたり、釣りに疲れたら山菜を採ったり、川岸でコーヒーを入れて飲んだ。



 そして、この川は、よくよく私の期待を裏切る。期待して行けばチビイワナにさえ相手にされず、スゴスゴと尻尾を丸めて、いつもより長く感じられる道をほとんど無言で帰る。帰りながら友人と約束した「来週は別の川。」で、またまた見事に撃沈され、「浮気はイカンな。やっぱり鷹生川だろ。」と立ち寄れば温かく迎えてくれる。今思えば、まるで恋愛の駆け引きのようだね。そんな風に私を夢中にさせたのがこの鷹生川。まったく‥‥駆け引き上手な川だよ。

 こういう風に思うのは、私が幼少期の僅か3年間を、鷹生川下流を流れる盛川のほとりで過ごしたからなのかもしれない。当時の私は、川沿いを通る砂利道(今、岩手県には殆ど無い)ではなく、友達と盛川の川原の石をピョンピョンと飛び学校によく通ったものだ。そして水のぬるむ夏、学校が終わると、オヤジから作ってもらった柄付きの網を持って川に飛び込んだ。流れの中にある沈み石の下手にそ〜っと網を挿しいれ、沈み石を蹴っ飛ばすと、カジカが獲れる。それを持ち帰り、から揚げや塩焼きにしてもらい食べるのが何より好きだった。家人にまたかと呆れられても、友達と日が暮れるまでカジカを獲ったものだ。いつも夢中でカジカを捕まえていると、「おーい、そっちでやれ。」と怒鳴られる。そうだった。そういえば、鮎釣りのおじさんに怒られたことを今、書きながら思い出した。

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 いったい何年ぶりだろうか。確か最後にこの渓を訪れたのは、7〜8年ほど前の筈だ。それほど長く、あれほど大好きだったこの美しい渓で釣りをしていない。

 ある時、この渓を包む原生林が伐採され、渓が剥き出しになった。渓石を柔らかく包む苔は乾いて石から剥がれ落ち、今まで悠々と渓を行き来していたイワナやヤマメが物陰に身を潜めた。重機の入る道が引かれ、そして、大きな看板が現れた。


「鷹生ダム建設」


 この日から、友人と共に、この失われていく渓を、むさぼるように釣った。ダム建設のことはお互いに話題にあげなかったが、休日のたびに鷹生川を訪れ、一日中過ごす時が続いた。もうこの渓とは会えないという気持ちがそうさせたのかは解らない。この渓を十分に釣り切ったと思えたとき、無口な友人がつぶやいた。

「もう十分だ。」

それ以来、鷹生川には来ていなかった。

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 この日訪れた理由は、滝を女房と娘に見せてやりたかったからだ。ここ(入渓地点)の上流部には小さな滝があって道路からよく見える。それに禁漁日初日なので、この日は間違っても釣が出来ない日ということも足を向けさせる動機になった。車に戻り、川沿いの道路を滝に向って走らせると、やがて立ち入り禁止の金網に阻まれた。

やっぱりこの川は、よくよく私の期待を裏切る。



 私が口に出すことではないのだが、大船渡市民はこのダムを歓迎しているのだろうか。私の住む気仙沼市では、水源の確保のために「ダムを求める力」よりも、ダムができた事による水質の変化を嫌う「海を守ろうとする心」が勝った。毎年、気仙沼の漁師さん達が山に落葉樹を植林し、山から流れ出す水を大事にしている。海と山は、川で繋がっている事を気づいたからだ。開発と対極にある環境保護、海を守ろうとする気持ちが、ダム建設をはねのけたのは時代と逆行する判断とも取られないが、私はこの結果を誇らしく思っている。そういえばダムの底で死んだ水に溶けている鉄分は海で有用な鉄分にならないという話を聞いた事がある。それと関係があるのかもしれない。

話をいろんな意味でちょっと戻そう。

 行き止まりだった頑丈そうな鉄柵の先には道路と川が平行に走っていて、見たかった滝がやがて右側に現れるはずだった。そしてその滝のちょっと上には小さな取水用の堰堤がある。ここで40cmのイワナを釣ったことがあるんだ。堰堤の脇には誰が植えたのか解らない茗荷(ミョウガ)が生えている。そこからず〜っと遡行していくと、朽ち落ちそうな木で出来た橋がかかっていて危ない。この辺でいつもコーヒーを入れる。更に上って行くと谷が狭まり、やがてドーッという音が聞こえ、急に開けたと思うと水の飛沫がメガネを襲う。大きなプールの先には赤錆びた鉄製の砂防ダムがあって幅広のヤマメちゃんが遡上を阻止され溜まっている。そこを越え、更に上って行くと道路と交差し、更に更に進んでいくと、また赤錆びた砂防ダムが行く手を阻む。その上は、腹の赤いイワナの住処だ。たしかこんな風だったと思う。

「鷹生ダム」の上には、五葉温泉が出来ていた。

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 この五葉温泉は、近隣の人たちの保養所になっている。入り口では「キンツバ」が売られていたが、さいとう製菓の工場まつりの帰りだったので、甘いもの大好きな胃袋が反応しない。


 施設の入り口にある橋から下を流れる川を見ると、かつて我々の行く手を阻んだ赤錆びた鉄製の砂防ダムが見えた。ダムに流れ込む水の色は澄んでいる。鉄製の砂防ダムは写さず、橋の下流側を写真に収め、温泉に浸った。

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 さて、この川は一体、ダムのおかげで何を得たのか。ダムという構造物が増えただけで、失ったものは何も無いといえるのだろうか。得たものは数知れず、大船渡市民にとって便利で有用なものだったと信じたい。

逆に失ったものは何であろうか。

 私が思うに、それは川の歴史なんだと思う。連綿と続いた川の歴史、川の生態系を我々の代でせき止め、未来の子供達に残せなかった事だとも思う。長く続いた甘竹市政を批判するわけではないが、環境に対する配慮をもう少し持ってもらえたらうれしい。



余談だが、大船渡市は議会で六ヶ所再処理に対する要望などを行なっていない。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
渓流…清流…
川のほとりでの飯盒炊爨は楽しいだろうなぁとふと頭をよぎりましたが、物を運ぶのも大変なので 行かないことにしています。(笑)

ダム…治水や洪水を防ぐには、必要かと思いつつ 果たして今後増やす必要があるものかどうか 考えてしまいます。
四万十川の上流にも作るとか言う話を聞きましたが…どうなんでしょうねぇ
おきらく社労士
2006/11/04 20:07
おきらく社労士さま、こんばんは。
楽しいっすよ。多少まずくても、簡単な料理でも美味しく感じられます。

ここは物凄く好きな渓流でした。
今は、ダムの底なんですよね〜。(T-T)

四万十にも作るんですか!
信じられないな〜。
mako@管理人
2006/11/05 23:22
ども!
コメ復活しましたねー良かった〜〜
行政はメリットばかりに目を向けてデメリットを含めた検証をしないままGOサイン出す事が多いですよね。
それでもここ最近は世論がシビアになったせいか、お取り潰しになる工事も増えてきた様に感じます。
人の手が少しでも入ってしまえばそこはもう自然とは違ってくる訳だし、でもやらなければならない時もある・・・
難しいけど『共存』て事について考えさせられる記事でした。
ヒデ
URL
2006/11/07 22:46
ごめんね〜ヒデさん。
管理画面の変な所にチェック入れちゃったみたいです。

そうですね〜。治水も利水も大事だけど、私個人の思い入れが強い分、やっぱり残してもらいたかったんですよ。
他には、陸前高田の気仙川も候補になっているようだしね。
川の歴史や漁業への影響をを考えるとダムは要らないといえるんだけど、別の眼から見ると必要に迫られていたりする。
ダム問題も複雑です。
mako@管理人
2006/11/08 00:11

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